【新聞:岩手版】養蚕半世紀 良質の繭作り

農業共済新聞岩手版・東北営農技術版

【新聞:岩手版】養蚕半世紀 良質の繭作り

[2021年10月3週号]

 

給桑に励む佐藤さん夫妻

 【磐井】一関市大東町の佐藤盛さん(73)と康子さん(71)は、家業の養蚕を50年以上営み、現在は年間500㌔の繭を出荷する。盛さんは「作業を夫婦で分担して行い、質の高い繭を生産するように心がけている」と話す。

 佐藤さん方では、明治時代から養蚕を営む。1970(昭和45)年に実家の経営を継いで、夫婦で本格的に取り組み始めた。

 現在は、自宅敷地内に125㌃の桑園があり、6月の春蚕に始まり10月中旬に出荷する晩々秋蚕まで手掛ける。

 「給桑(蚕の幼虫に桑の葉を食べさせる作業)が一番大変。夫婦で分担して、朝昼晩の3回、自分たちが食事をする前に行う」と盛さん。盛さんが桑の葉を収穫する「桑切り」、康子さんが蚕に桑の葉を食べさせる「桑かけ」の担当だ。

暖房器具を使って室温管理

 桑の葉12㌔分を縄で結わえたものを丸という。「蚕は成長するにつれて食べる量が多くなるので、5齢の8日目には1日で40丸ほど収穫する」と盛さん。康子さんは「桑の量に偏りがあると、幼虫の成長の早さがばらばらになってしまう。まんべんなく桑を分けるように気を付けている」と話す。

 蚕は暑さに弱いため、温度管理に気を配る。「蚕は気温が高すぎるとぐったりしてしまう。蚕の成長の経過に合わせて室温を25度前後に保つように気を配っている」と康子さん。

 繭を作る道具「回転蔟」から繭を外して毛羽をむく「繭かき」の後に、袋に詰めて出荷する。

 「立派な繭が汚れないように、汚れた繭を手作業で取り除く。また、回転蔟から外す前と袋詰めのときも慎重にチェックする」と盛さん。「質の良い繭を出荷できるように、これからも夫婦で力を合わせて養蚕を続けたい」と話してくれた。


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