[2022年8月3週号]
【北部】野田村野田の中野琢磨さん(48)は、1年間の菌床シイタケ栽培の研修を経て2018年に就農。現在はハウス3棟(1万8千玉)で通年栽培している。昨年は18㌧をJAに出荷。需要の多い冬に良品質のシイタケを出荷するため、発生時期の調整や栽培管理の効率化に取り組んでいる。
菌床ブロックは久慈市内のきのこ園で購入し、菌床ブロックの袋上部を切り取り、水をためる上面栽培を採用している。中野さんは「菌床側面からのシイタケの発生が抑えられるので、生育が良くなる」と話す。
培養期間中は、空調設備でハウス内温度を18度に保ち、4カ月間育てる。培養後は、温度を15~17度に下げ、菌床ブロックが半分程度漬かるように給水し酸欠状態にして、菌の生存本能に働きかけシイタケの発生を促す。発生後は、収穫と菌床の休養を繰り返して6~7回転する。
ハウス増設で安定化へ
中野さん方では、夏採り1棟、冬採り2棟で栽培。冬採りは8月と10月に1回転目の収穫を迎える。「2~3回転目のシイタケは形が良く発生量は多い。販売単価の高い9月から冬にかけて出荷できるように、ハウスごとに培養開始時期をずらして、発生時期を調整している」。今秋にはハウス1棟を増設し、夏採りの栽培量を増やして通年での安定出荷を目指す。
シイタケ栽培は温湿度と二酸化炭素濃度の管理が重要だという。ハウス内には1分ごとの温湿度や二酸化炭素濃度を計測するセンサーを20年に設置。計測したデータはスマートフォンで確認できるので、栽培管理の効率化につながった。
「適正なタイミングで換気や水やりができるようになった。高温や酸欠による障害が減り、良品質のシイタケを出荷できている」と中野さん。「経営を軌道に乗せて規模を拡大し、法人化したい」と意気込む。