[2017年9月2週号岩手版]
【宮古市】昨年8月30日に岩手県を襲った台風10号災害から1年。河川が氾濫し、宮古市老木の関川政俊さん(52)が栽培する切り花などは流れ込んだ泥水ですべて倒された。再開を目指し、花苗を掘り起して再利用するなど早急な対処を心掛け、被災から約半年後に無事、再出荷を迎えることができた。
関川さん方では、ハウス15棟でアルストロメリアやトルコギキョウなど花き類のほか、水稲(25㌃)、ネギ、ブロッコリーなどの露地野菜(1㌶)を手掛ける専業農家で両親と妻の4人で作業に励んでいる。
昨年の春にアルストロメリア150株の更新を済ませ、11月からの出荷を目指して作業を進めてきた矢先だった。豪雨により市内を流れる閉伊川が氾濫。ハウスや露地に水が流れ込んだ。
ハウスは約1・5㍍浸水し、花はすべて倒された。「水は翌朝には引いたけど、ぬかるんで農機具が入れる状況ではなかった」と振り返る。
「お盆用の出荷を終えていたのが不幸中の幸い。アルストロメリアに関しては株を更新したばかりだったので、再利用できそうな苗は使おうと思った」と幸いにも泥の堆積は少なく、根むくれした苗を丁寧に掘り起して土の消毒作業に取り掛かった。
土壌検査の結果、定植が可能な状態になり、再利用できそうな約100株を定植した。「植えてはみたが、やはり欠株になってしまう。しかし、生命力の強さに感心した」と関川さん。昨年9月中旬に定植を終え、暖房機の確保や漏電の確認など順調に作業を進め、今年2月から出荷することができた。
「例年は11月ごろから出荷しているが、2月からでも出荷できたことに喜びを感じた」と笑顔を見せる。
「被害に遭ってショックは大きかったが、今まで切り花栽培をやってきたからできるところまで頑張ろうという思いでやってきた」と強い意志を持つ関川さん。今春から本格的に花や露地野菜の栽培が進み、これからの彼岸用切り花の出荷に向けて作業に励んでいる。