[2018年岩手版10月2週号]
【八幡平市】規格外のリンドウを活用して、染物を制作する八幡平市の『安代りんどう工房「潤(じゅん)」。染め物作品は淡く優しい色あいが特徴で、工房の木元由美子代表(47)は「仏花としてだけでなく、日常的に楽しんでもらいたい」と、リンドウの普及に励んでいる。
日常でも楽しんでほしい
工房で作業するのは、八幡平市安代地区でリンドウ栽培に取り組む女性生産者7人。木元代表は「娘が自由研究で、リンドウを使ってハンカチを染めているのを見て、ひらめいた」と、規格外のリンドウの活用を思いついた。
地元の草木染作家に教わりながら、2014年からリンドウの花びらで染め物を始めた。15年4月に工房を立ち上げ、現在は構成員それぞれが自家産のリンドウを持ち寄り、ストールやスカーフなどを制作している。
淡く優しい色あい
「最初に布を煮たり専用の液に浸けることで、ほこりなどが取り除かれて均等に染まる」と木元代表。次に、リンドウの花びらで作った染液に布を浸け、さらに色抜け防止の液剤に浸し色素を布に定着させる。そのため、作業は2日以上かかるという。
商品化までに構成員同士で試行錯誤を重ねた。「色抜け防止剤に使う材料でも発色が変化する。リンドウと相性のよい材料を探して、5種類ほど試した」
同じ品種でも気温や収穫時期によって色が変わるため、商品は一つ一つ仕上がりが変わる。「紫色のほか、水色やグレーがかった色など、品種によってさまざまな染色が楽しめる。淡くて優しい色あいが特徴」
染液は花が咲いている時期に作るため、農繁期と重なる。木元代表は「忙しい時期の作業になるが、染め物がリンドウに親しんでもらうきっかけになればうれしい。仏花としてのイメージが強いが、日常的にも使ってもらいたい」と笑顔を見せる。