[2016年5月3週号 岩手版]
特産・畑ワサビ栽培に励む岩泉町袰綿の中村登さん(31)は、先輩農家のアドバイスを受けながら丁寧な作業を心掛け、良質な畑ワサビ生産に力を注いでいる。品評会では好成績を収めていて、担い手の活躍に地域の期待も大きい。
「自分でできる分だけやってみようと思い、不安はなかった」と、就農当初を振り返る中村さん。3年前、県外から同町に戻ったときに、畑ワサビ栽培が盛んなことを知り、栽培に興味を持ったという。
地域の先輩農家や指導者から指示・アドバイスを受け、経験を積みながら栽培技術を習得。圃場整備や除草作業などを丁寧に行い、就農1年目に目標収量3・5tを達成した。
「育て方しだいで、収量=収入も変わる」と、畑ワサビに一層、魅力を感じた中村さんは、毎年、栽培面積を広げ、収量を増やしてきた。現在は同町国境の圃場約100㌃で栽培に取り組んでいる。
栽培管理では「木陰」が重要とのことで、林間にある圃場では、直射日光が当たりすぎず、栽培に適した光量となるよう、除草や木の間伐を実施。ほかの圃場を見学するなど、試行錯誤を繰り返しながら圃場整備に力を注ぐ。除草作業では小型の草刈り機を導入し、軽労化と作業時間の短縮につなげている。
就農2年目の2014年に「第29回全国わさび品評会」(主催=全国わさび生産者協議会、島根県山葵協会)で特賞・全国わさび生産者協議会長賞を受賞した中村さんは「気象条件にもよるが、受賞したことで、圃場整備など基本的な作業をしっかりとやっていれば、経営が成り立つと確信した」と、力強く話す。
繁忙期にはパート5、6人を雇っているが、高齢化などで人材の確保が難しく「規模拡大を図るには、人手が足りない」と課題を挙げる中村さん。今後については「一人でも多くの仲間が増えてほしい。岩泉町をもっと活気付けていきたい」と意欲的だ。