地域みんなが協力 担い手の負担軽減

農業共済新聞岩手版・東北営農技術版

地域みんなが協力 担い手の負担軽減

[2018年5月3週号岩手版]

【矢巾町】水稲26㌶をはじめ、小麦10㌶、大豆25㌶などを生産する矢巾町の農事組合法人室岡営農組合(2005年設立、村松潔組合長理事)は、構成員の役割を明確化し、担い手不足解消に取り組む。二毛作の導入や加工品の製造など、総合的な取り組みが全国的にも高く評価されている。

 

味噌の加工など、女性構成員が活躍する場も多い

二毛作導入・加工品製造 〝適材適所〟で役割分担

 矢巾町室岡地区は、近郊の盛岡市などの会社に勤める住民が多く、作業受託による担い手の負担増加や、農業に対する関心の低下が課題となっていた。

 そのため、室岡営農組合では構成員の役割を明確化した。機械作業のオペレーターは経験を積んだ農家、日常の草刈りや水管理を農地所有者、ミニトマト栽培や味噌加工を女性や高齢者が担当する。

 

 

会社員も定年退職者も

水稲の種蒔き作業の様子。組合員が一丸となり苗箱を並べる

 会社勤めの構成員も休日には農作業に携わるため、定年退職後はオペレーターや役員の後継者として人材育成にもつながっている。前職の経験も生かされるので、前組合長理事の米倉初夫さん(72)は「経理などの事務作業は、サラリーマン経験者の力が大きい」と話す。

 11年からは、作期が重なるため、寒冷地では困難だった小麦と大豆の二毛作を導入。麦の収穫前に畝間へ大豆を播種し、大豆の収穫前には小麦を播種する。「小麦、大豆ともに収量は県の平均を上回っている」と米倉さん。昨年の10㌃当たりの収量は小麦が315㌔、大豆が209㌔だった。

 小学生の田植え体験や研修旅行による非農家との交流など、地域貢献を目指している。

 こうした取り組みが評価され「第47回日本農業賞」(主催=NHK、全国農業協同組合中央会など)集団組織の部で優秀賞を受賞した。米倉さんは「農業を通して地域に貢献していきたい」と地域に根差した組織づくりを目指している。


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