[2018年6月3週号]
【遠野市】「野菜の魅力は、手をかけた分、より良いものが出来上がること」と話すのは、遠野市附馬牛町の村上悠さん(33)。昨年就農し、ビニールハウス2棟を含む約8㌃の畑でトマトやレタス、ピーマンを栽培する。トマトは極少量培地耕による栽培に取り組み、質の向上や周年栽培による増収を目指す。
若手の活躍に刺激
2016年まで東京でアパレル関係の仕事をしていたが、30歳を機に実家に戻り就農した。「30歳になったら実家に戻ってくるつもりではいた。東京で全国各地の農家が出店する『青山ファーマーズマーケット』に立ち寄ったとき、自分より若い生産者が多く、刺激を受けた。自分でもできるかもしれないと思った」
村上さんの実家は兼業農家。水稲をはじめ、レタスや和牛繁殖が経営の中心だったが、新規就農の研修で千葉大学へ行った際、ビニールハウスでのトマト栽培に興味を持った。
周年栽培を目指す
トマトは、今年から極少量培地耕での栽培を導入した。培地量が少ないため、灌水設備による水分調整がしやすく、品質の向上が期待される。また、トレーには「Dトレイ」を使用。栽培期間中の株の植え替えが容易となった。低段密植栽培が行いやすくなり、底部に脚があることで苗が地面に接触しないため病気の予防も期待できる。
一般的な栽培方法だった昨年は、360本の苗から約1㌧のトマトを収穫した。「今年の苗は1300本。3回転で周年での収穫が目標。農薬を使わない栽培にも取り組んでいます」と村上さんは意気込む。
レタスも農薬を使わずに栽培する。「今は地元のJAや産直などをメインに販売していますが、ネット販売も視野に入れている」とホームページを作成中だ。「東京の友人が食堂を経営しているので、そのお店にもレタスを卸したい」と話している。