[2016年4月4週号 岩手版]
【奥州市】自家産リンゴ「ふじ」を使ったアップルパイ作りに励む奥州市の高橋ノブ子さん(70)。出荷先の産直ではリピーターも多く、人気商品のひとつとなっている。栽培面積の拡大を目標に、菓子作りやリンゴ生産を通じて、特産リンゴの魅力を発信している。
高橋さん方では、現在、栽培面積1・5㌶でリンゴを栽培し、収穫した果実は主に生食用として出荷している。ノブ子さんは「リンゴ産地の生産農家として、何かできないか。出荷に適さない果実を加工して販売できたら」と考えたことをきっかけに、12年前から研究を重ね、アップルパイ作りに取り組んでいる。
「調理の仕事には携わっていましたが、お菓子作りのノウハウはなく、全て独学です」とノブ子さん。例年、アップルパイ作りは9月から翌年5月ごろまで行っていて、自宅に増築した工房で、出荷の前日からの仕込み作業と毎朝4時から7時までの3~4時間の作業で仕上げている。
出荷先は同市の産直施設「江刺ふるさと市場」で、ほどよい甘さで素材の味を生かした同商品はファンも多く、売り切れることもしばしばという。
ノブ子さんの作る菓子の一番のファンという3人の孫たちは「自分たちもお母さんに習ってケーキを作るけど、おばあちゃんが作ったほうがおいしい」と笑顔で話す。
義父母が行商で販売していたブドウやナシ作りを見て、果樹栽培に興味を持ったノブ子さんは、田んぼをリンゴ園に転換しながら夫・秀男さん(73)と栽培に力を注いできた。数年前、秀男さんが体調を崩したことをきっかけに、息子夫妻が就農を決意。現在、地元のリンゴ園で研修中だ。
若い二人に期待を寄せるノブ子さんは、今後について「園地の状況や品種構成を考えながら面積を増やしていきたい」と話し、「自分も含め、息子たちにも、リンゴ栽培を通して情報交換したり、仲間を増やしていってほしい。やり方次第で伸び代があるのが農業。その魅力をつなげたいです」と意気込みを話してくれた。