[2016年7月1週号 岩手版]
【遠野市】農家の高齢化や減少が進む中、JAいわて花巻の遠野地域野菜生産部会アスパラガス専門部(奥田満部長=74歳)では、農家の育成や作業の省力化に取り組み、アスパラガスの栽培拡大を図っている。行政からの支援もあり、遠野市では栽培面積が年々増加し、農家の新たな収入源として注目されている。
遠野地域でアスパラガスの普及推進を図るため、2012年に同専門部を発足。JAいわて花巻の「アスパラガス作付倍増運動」と連動して、アスパラガスの栽培拡大に取り組み、12年度に225㌃だった栽培面積は15年度に465㌃まで拡大した。
同専門部では、栽培指導会を年間5回程度開催し、栽培技術の向上を図るほか、昨年の12月には新規生産者向けに栽培説明会を開催するなど、新たな生産者獲得にも積極的に取り組んでいる。会員数は活動の成果もあり、専門部発足当初の25人から15年には37人となり、今年も6人が新たに加わる予定だ。栽培面積も100㌃増加する見込みで、販売額2500万円、10㌃当たり70万円の収入を目指している。
収穫したアスパラガスはこれまで生産者が選別、結束していたが、作業の省力化を図り、現在では会員の8割が北上市の共同選果場を利用している。利用者の一人である同市松崎町の山口興子さんは「収穫後の選別や結束作業がなくなることで、一日の労働時間が2時間は短縮された。その時間に他の事が出来るのでよかった」と同施設を有効活用している。
遠野市では、アスパラガスの栽培拡大を図るため、新規に栽培する場合や栽培面積を拡大する場合、種苗代も含む資材費の3分の2にあたる額を助成する。また、JAいわて花巻からも同様の内容で4分の1の助成が受けられるため、少ない費用負担で栽培を始めることが可能だ。
アスパラガスは多年性植物のため、1度作付けすると、10年以上収穫することができるうえ、近年大きな価格変動がないため、安定した収入につながっている。奥田部長は「アスパラガスは費用も労働力も比較的かからない作物。行政やJAからの助成も充実しているので、多くの方に栽培してほしいです」と話す。