[2017年12月1週号岩手版]
【野田村】「食材を提供してくれる方々の『想い』も込めて料理を作っています」と話すのは、野田村のイタリアンレストラン「Osteria Vai―getsu(おすてりあ ばいげつ)」のオーナーシェフ・小野寺智子さん(28)。地元の食材をメニューに取り入れ、野田村の食の魅力を発信、地域活性化を目指す。
イタリアや東京で料理の修行をしていた智子さんは、母・ひろみさん(59)が体調を崩したのをきっかけに帰省した。「地元を離れたことで、良い食材が故郷でそろうことに気が付いた。たくさんの魅力をうれしく思い、この地での開業を決めた」と話す。
ひろみさんとともにレストランをオープンし、2年目を迎えた。食材には自ら栽培した自家野菜などのほか、野田湾で取れた新鮮な魚介類を使用。地産地消レストランとして親しまれている。
智子さん自身も祖母・ヤスさん(83)とともにトマトやピーマンなどのほか、ハーブやイタリア野菜など100種類以上を栽培。肥料には有機肥料を使用することで、安全・安心な食材を心がけている。営業時間の合間を縫った収穫作業に「特に夏場は忙しいですが、大事に育てた野菜たちは愛着が湧いて、料理にも力が入ります」。
自分たちで栽培できない食材は、地元農家からも仕入れている。「お客さまから『おいしかったよ』と言ってもらえるのは、食材を提供してくださる皆さんのおかげ」
地元農家のやりがいとして還元しようと懸命だ。「高齢化などで大変ですが、大切に育てられた野菜を使うことで農家の皆さんの励みになればうれしい」
野田村には、食材が豊富にある。「フルコースの食材がすべてそろう。高級食材にも負けていない」と智子さん。「気持ちをこめた料理を通してお客さまに地域の魅力を伝え、農家のみなさんにも『頑張ろう』と思っていただけたらうれしい」と励んでいる。