[2018年2月3週号岩手版]
【山田町】原木シイタケを栽培し、乾椎茸として出荷している山田町荒川の芳賀隆さん(39)は、昨年「第50回全農乾椎茸品評会」で最高賞の農林水産大臣賞を受賞した。収穫時期の見極めや天候に合わせた乾燥、ホダ木の自家生産など、労力と時間を惜しまず、品質維持に努めている。
芳賀さん方では、1977年に父・計市さんが原木シイタケの栽培を始めた。幼い頃から栽培に携わった芳賀さんは、岩手県立遠野緑峰高等学校生産技術科を卒業後、鳥取県の日本菌類専門学校へ入学。原木シイタケをはじめキノコ類全般のノウハウを2年間学び、2014年に経営を引き継いだ。現在は妻・幸子さん(38)と両親の4人で年平均乾用植菌ホダ木2万本(有効ホダ木10万本)を栽培する。
天候に合わせて調整
「一番重要なのは、収穫するタイミングと乾燥機の温度や時間の設定」と話す芳賀さん。シイタケのかさ裏の膜が切れていない状態で収穫すると、乾燥後にかさ裏の「ひだ」がきれいに出来ない。そのため、かさ裏の膜が切れてからの収穫を徹底する。
収穫後は専用トレーに一つずつ並べ、乾燥機で約26時間かけて乾かす。収穫した日の天候次第でシイタケに含まれる水分が異なるので、乾燥機の設定も天候に合わせて変更する。「乾燥場所は排気がこもらないように通気性を良くしている。かさがクリーム色になるように乾燥させる」
ホダ木(シイタケの菌糸を植えた原木)となる立ち木は、近隣の山の所有者から仕入れ、自ら伐採する。伐採した木は放置して水分を抜き、1㍍間隔に切断。トラックへの積み込みはすべて手作業だ。「木の太さは大きいもので直径50㌢ほどある。木を傷つけないように慎重に運ばなければならない」
全農乾椎茸品評会での農林水産大臣賞を受賞は、16年に続き、2度目の受賞となった。「賞を一つの励みにして、これからも品質維持に努めます」と意気込んでいる。