[2015年11月1週号 岩手版]
【宮古市】露地野菜や花卉類の栽培に励む宮古市川内の木村昌也さん(22)は、昨春に農業経営者として歩みだした。現在は栽培面積拡大のためハウスの建設や畑地整備に力を注ぎ、経営安定に向けて、しっかりとした基盤作りに奮闘中だ。
昌也さんは、岩手県立農業大学校を卒業後、滋賀県にあるタキイ種苗株式会社研究農場で1年間研修を積む間、研修先の農業者や経営者と関わるうちに刺激を受け、いずれは農業をと思っていたが「おもしろそうだ、自分の経営でやってみたい」と強く思い、就農を決意した。
就農1年目は直売所出荷用に、露地17㌃、ハウス3棟でトマト・ナス・ピーマン・切り花など約20品種を栽培した。農業大学校や研修での経験を生かして栽培に取り組んだが、一人での作業は管理が行き届かず、思ったより収量が取れなかったとのこと。
「一年を通して作物生産に携わったのは初めてのこと。天候も含め、日々、予定外のことが起こり、計画通りにはいかなかった」と話す。それでも、出荷先の直売所では1袋1品種ではなく、「野菜セット」にして販売し、工夫を凝らした販売方法で売れ行きを伸ばすなど「創意工夫の一年」と振り返る。
栽培については、専業で農業を営む父・勇一さん(59)や、農業改良普及センターの協力により、着実に技術を身に着けていて、今年は栽培作物を約10品種に減らし、品質・収量の向上に注力。JAや盛岡生花地方卸売市場と出荷先を拡大した。
また、栽培面積の拡大と勇一さんから栽培技術を学ぶため、勇一さんが栽培を行う同市区界に移転しながら、土地の整備とハウスの建設作業を行っている。
来年は、露地栽培を中心に、タマネギと切り花のデルフィニウムを主力とする予定で「安定した収入源になる主力作物を決めなければ」とタマネギに関しては、気候に合った品種を見つけるため、試験栽培を行うとのこと。
「働いた分、ものになるという感覚は掴めてきた。『おもしろい』と感じるよう、基盤をしっかりと作って、経営方針も決めていきたい」と意欲を語った。(中村)