[2017年9月1週号岩手版]
【大槌町】非農家の出身ながら、農事組合法人大槌結ゆい(佐々木重吾代表理事・組合員10人)の構成員として農作業に奮闘するのは、大槌町赤浜地区の小豆島一欽さん(39)だ。先輩農家のアドバイスを受けながら熱心に栽培技術を学ぶ小豆島さんの姿に、地域農業の後継者として関係者らは期待を寄せる。
「自分の仕事がダイレクトに結果につながる仕事をしたい」と就農を決意した小豆島さん。茨木県立農業大学校で研修を受けたのち、香川県の農園に勤務していた。地元の農村風景への憧れや東日本大震災で父親が亡くなったのをきっかけに、2015年にUターン就農。青年就農給付金制度を活用し、10㌃の農地を借りてナスを栽培していたところ、17年に佐々木代表理事から声が掛かった。小豆島さんは「非農家なので農地の取得がハードルだった。働きながら技術を習得できるのでありがたい」と同法人の構成員となった。
同法人は16年に設立。東日本大震災の大津波で被災した農地約4㌶を復旧し、水稲3㌶、キャベツ1㌶、ピーマン8㌃(ハウス4棟、路地4㌃)タマネギ10㌃を栽培する。本年度は1000万円の売り上げが目標だ。小豆島さんはピーマン栽培をメインに、水稲やタマネギ栽培にも従事する。
「農作物は私の作業を待ってくれない。収穫、防除のタイミングが大事」と作業適期を逃さないように注意深く作物を観察する小豆島さん。「『おいしかったよ』と声を掛けられるのが嬉しい」と消費者の喜ぶ姿を思い浮かべながら、野菜の収穫や水稲の防除作業に汗を流す。
「まずは栽培技術をしっかり覚えるのが目標。農機具を運転するために、大型自動車免許も取得したい」と意欲的な小豆島さん。佐々木代表理事は「他の地域同様に当地域も後継者不足が課題だが、熱心に学ぶ姿は頼もしく感じる。将来は法人の組合員として、経営の面でも引っ張ってほしい」と熱心に作業する小豆島さんの姿に目を細める。