[2015年12月1週号 岩手版]
【花巻市】生食用大粒種ブドウの栽培に励む花巻市高木の佐藤農園の佐藤秀明さん(63)、徹さん(30)親子は、ブドウの付加価値を高めて加工品を売り込もうと起業して干しブドウを商品化。パッケージを刷新しながら販路を拡大し生食用ブドウとの相乗効果を狙っている。
佐藤農園では、185㌃の園地で大粒種「紅伊豆」を中心に7品種のブドウを栽培している。
4年前、干しブドウなど加工品の生産販売を目的として起業し商品化。現在、干しブドウの加工には、生食用のブドウ「安芸クイーン」「黄玉」「シャインマスカット」の3品種を用いて生産している。
商品化した干しブドウを平成24年に東京都で開かれた物産ショーに出展し、来場者から食味を高く評価されたが、都内で開催した試食会では、「味はいいがこれでは売れない」とパッケージに対しての厳しい評価も受けた。
秀明さんは起業する時に教わった「商品を作って喜んでいるだけではだめ。まずは売ることを考えることが大事」という原点に立ち帰りパッケージのデザインをアーティストに依頼。試行錯誤を重ね、高級感のある新パッケージを完成させた。
昨年、再び物産ショーに新パッケージの干しブドウを出展したところ、来場者から商品として高評価を得られ、都市部に展開するセレクトショップと取引するなど一気に販路を拡大し、売り上げ増加につながることに成功している。
今年、食や商品に厳しい目を持つ大手百貨店や出版関係者らが審査を行う「世界にも通用する究極のお土産~『東北10品』」に干しブドウを出品。房のまま乾燥させた無添加食品で、肉厚でみずみずしく芳醇な甘みや香りはもちろんのこと、パッケージも高級感あふれる雰囲気に仕上がりこれらのことが、審査員から高評価を得て、見事「究極のお土産東北10品」に選考され注目されている。
秀明さんは「消費者に干しブドウを食べてみて、生食用も食べてみたいと思わせたい。今後も楽しみながら、ぶどう作りに取り組んでいきたい」と意欲的だ。(上川)