[2016年9月3週号 岩手版]
【一戸町】消費者のニーズに対応したリンドウの栽培に励んでいる一戸町小友の坂戸明夫さん(69)。排水性の良い圃場づくりや定植年の徹底した管理で高収量、高単価を維持している。
坂戸さん方では、1.5㌶の圃場に11種類のリンドウを約10万株栽培している。基本は家族労働で農繁期には数人雇用をしながら出荷に励んでいる。出荷先は、JAで、出荷できない規格外品は直販し出荷ロスを減らしている。
「約20年前に35㌃の面積から始めたリンドウ栽培を、息子夫婦が就農したことをきっかけに規模拡大しました」と話す坂戸さん。品種ごとの開花時期を考慮し栽培、6月下旬から11月中旬まで長期出荷している。
栽培特性を生かして高品質なリンドウを栽培するため、圃場に明渠(めいきょ)排水路をつくり、排水性の良い圃場づくりを心掛けている。また、雪があるときに施肥することで、肥料焼けを防ぐことができる雪解け前施肥法の実用性を実証するなど、省力的栽培法にも取り組んでいる。
良質な株を保つことが次年以降の生育に影響するため収穫時はもちろん、収穫後の病害虫対策である残茎処理も手作業で行うなど、株の栽培管理を徹底している。
JA新いわての奥中山花き生産部会一戸支部長として活躍する坂戸さん。年に3、4回程度、現地指導会などを行っており「高齢化が進み生産者が減少しているので新規就農者が増えるように技術の土台を築いていきたいと思っています」と話し技術向上や新規栽培者の育成にも力を入れている。
今後は、「地元に合った新品種を開発したいです。花粉の組み合わせ交配に取り組んで3年目になりますが、どんな色や形の花が咲くのか毎年楽しみです。消費者に求められ、生産者に育てやすい、自分で納得のいく花を咲かせるために今挑戦しています」と目を輝かせながら話してくれた。