[2025年8月3週号]
【中部】岩手県は、農作物をツキノワグマなどの野生獣から守るため、フェンシングワイヤ(高張力鋼線)を使用した恒久電気柵の設置方法を学ぶ講習会を花巻市石鳥谷町で実施した。講師を務めた県農林水産部農業普及技術課技術主幹兼農業革新支援担当の中森忠義課長は「クマなどの野生獣による農作物の被害を防ぐため、電気柵の設置を検討してほしい」と話す。

講習では取り付け方を実演した
花巻市の水田で設置講習会
同講習会には、同地域の農業関係者のほか、鳥獣対策を担当する県や市の職員約50人が参加した。実証圃場は、ツキノワグマやイノシシなどの出没が懸念される水田約1・2㌶。圃場の周囲170㍍に、地面から高さ20㌢、40㌢、70㌢の3段で、太さ2㍉のフェンシングワイヤと単管パイプを用いた恒久電気柵を設置した。
講習に参加した熊谷俊彦さん(67)は「この地域は2023年にクマによる人的被害が発生している。効果があれば、将来的には900㍍に延伸したい」と期待を込める。

「漏電などを防ぐため、ワイヤは緊張具を使ってピンと張った状態にすること」と中森課長
長距離・広範囲をカバー 設置は1度 冬季運用も可能
恒久電気柵は、耐久性と導電性に優れたフェンシングワイヤを使用。張力が強いため、長距離・広範囲の設置に適している。ポリワイヤを使用した簡易電気柵と比較して劣化しづらく、一度設置すると再設置が不要であることがメリット。ワイヤに流れる電流の電源を段ごとに分け、積雪時は下段のワイヤの電源を切って漏電を防ぐことで、冬期間も運用が可能だという。中森課長は「今後はセンサーカメラも設置して効果があるか検証していきたい」と話す。
岩手県の野生鳥獣による23年度の農作物被害金額は、約5億2千万円で東北最多。県農業振興課・村田就治鳥獣被害対策特命課長は「鳥獣の侵入被害に悩まれている場合は、地域の農業改良普及センター、振興局に相談していただきたい」と呼びかける。