【新聞:岩手版】ブラウンスイス種を食肉加工 低コストで高品質に

農業共済新聞岩手版・東北営農技術版

【新聞:岩手版】ブラウンスイス種を食肉加工 低コストで高品質に

[2024年4月2週号]

 【中部】西和賀町左草の藤田春恵さん(44)は、乳肉兼用種である「ブラウンスイス」種のまろやかな味わいの赤身肉に着目し、2020年に食肉加工と販売を始めた。

 放牧を主体とした飼育で栄養価の高い牧草を食べさせることで、低コストで良質な肉を生産。「左草ブラウンスイス牧場」と名付けたブランドを立ち上げて、年間4頭を出荷している。

 藤田さんは、両親が経営する菅原牧場で「ホルスタイン」種36頭とブラウンスイス10頭を飼育し、年間約300㌧の生乳を生産。生乳は2種のものを混ぜて湯田牛乳として販売している。

 「廃用のブラウンスイスの肉は自家消費していた」と藤田さん。「ブラウンスイスの肉は、赤身が多く牛乳のようなまろやかな味わいが特徴。以前から食肉利用の構想があった」と話す。

「穏やかな性格のブラウンスイスは、ホルスタインとけんかしないため飼育しやすい。体が丈夫で病気にかかりにくいのも特徴」と藤田さん

放牧主体に牧草を給餌 ハム・ソーセージも自ら

 同町に移住したシャルキュトリー(食肉加工品)の職人から、ハムやソーセージなどの加工方法や衛生管理などを教わり、20年に左草ブラウンスイス牧場を立ち上げ、食肉加工と販売に着手した。

 菅原牧場では牛をつながないフリーストール牛舎を導入。「育成牛と肥育牛は春から秋に放牧する。栄養価が高い牧草を食べるので、配合飼料のコストを抑えながら良質な肉の生産が期待できる」

 昨年は3頭分で約1200㌔のブラウンスイスの肉を出荷し、ブロック肉を町内のほか、盛岡や北上、遠野、東京の飲食店に卸す。バラ、うでなどは小売り向けのサイズに加工して販売し、西和賀町内の給食用としても卸すという。

 1頭分の出荷量のうち80~100㌔の肉は、シャルキュトリーの職人の加工場で藤田さん自らがハムやソーセージなどに加工する。

 藤田さんは「飼育頭数を増やして、年間10頭の出荷を目指す。いずれは全頭ブラウンスイスにしたい」と意気込む。


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