【新聞:岩手版】収益上げる経営展開

農業共済新聞岩手版・東北営農技術版

【新聞:岩手版】収益上げる経営展開

[2023年5月2週号]

「お客さまや販売先の方とのつながりを大切にしている」と藤澤代表

 【盛岡】盛岡市上太田の「桜木農園(藤澤毅広代表=55歳)」では、ICT(情報通信技術)を駆使したイチゴ栽培に取り組む。栽培記録をデータ化し、知識や経験を次世代へつなげるためだ。商品の種類を増やすほか、規格外品は加工品として販売し、収益の向上を実現している。

 知人の農作業を手伝った際に、「誰かのために生きる農業のやりがいにひかれた」という藤澤代表。異業種から農業の道へと進み、2012年に「桜木農園」を設立した。

 就農当初はミニトマトを主に栽培していたが、「幼いころに食べた思い出深いイチゴを、よりおいしいものにしたい」と、17年にイチゴ栽培を始めた。現在は4人の従業員とともに、ハウス5棟(20㌃)で「紅ほっぺ」をメインにミニトマトも栽培する。

 栽培に当たってはICTを活用。温度管理や遮光カーテンの開閉などはそれぞれ調整していたが、すべて連動する統合環境制御を導入し、作業効率が向上した。

 経験や感覚ではなく、過去のデータを基にハウス内の環境を整えられる。藤澤代表は「ICTを駆使して品質を向上させ、自分の経験や知識を次世代へつなげたい」と話す。

イチゴは、産地直売所サン・フレッシュ都南などで販売

廃棄品を一切出さない

 販売面では、贈答用のほか1人暮らしの人に向けた少量サイズなど、複数の規格をそろえた。「他県ブランドとの差別化を図るため、手に取りやすいように規格を増やして販売する」

規格外品は「いちごソース」などに加工して販売するなど、廃棄品を一切出さない経営に取り組み、収益の向上につなげている。

 「日々の食卓でイチゴをより身近なものにしたい」と藤澤代表。「より多くの方にイチゴを販売できるよう、生産性の向上と利益率の最大化を目指す」と意欲的だ。


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