【新聞:岩手版】安全・安心の米づくり

農業共済新聞岩手版・東北営農技術版

【新聞:岩手版】安全・安心の米づくり

[2021年4月1週号]

 【宮古】「漁業もやっているからこそ思いついた」と話すのは、水稲70㌃を栽培する宮古市摂待の「せったい海藻農園」代表の畠山正広さん(46)。化学肥料の代わりに、廃棄する昆布の切れ端などを肥料として使用している。今年は、新たに独自の元肥作りを開始。安全・安心な米作りと収量アップを目指している。

「挑戦を重ねながら、独自農法を確立させていきたい」と畠山さん

 畠山さんは、2007年に就農。父・定悦さんとともに、水稲栽培と昆布養殖などに取り組む半農半漁の生活を送ってきた。

 「玄米食に興味を持った。栄養価の高いものを食べるために、農薬と化学肥料を使わない農法に挑戦しようと思った」と畠山さん。19年に一部の圃場(10㌃)で、昆布や米ぬかを混ぜた自家製肥料の使用を始めた。

 昆布は、切れ端部分を使用する。「昆布を出荷する前の調整作業で必ず出る。通常は捨ててしまう部分」。1年ほど発酵させてから、米ぬかと1対1の割合で混ぜる。20日ほど切り返しながらさらに発酵させると完成するという。

しっかりとした根と葉

 肥料約100㌔をソフトボールほどの大きさの団子状に丸め、6月上旬に圃場に2㍍間隔で投げ入れる。「投げるだけなので、作業は楽。肥料は自然に溶け出す。通常の栽培よりも根や葉がしっかりとしている」

 20年までは、追肥のみ散布していた。「初期生育を促すため」と、今年から元肥づくりを始めた。元肥には、稲わら、もみ殻に米ぬか100㌔を混ぜ、微生物の働きを促す光合成細菌を入れる。「光合成細菌によって発酵スピードが速くなることが分かった」

 昨年の収量は10㌃あたり360㌔ほど。農薬を使用しないため、6月と7月に10日間ずつ集中的な草取りが欠かせないという。

 畠山さんは「通常の栽培よりも単収は低いが、根の張り具合などが良いので手応えを感じている。今年は反収400㌔を目指す」と意気込む。


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