[新聞:岩手版]自然の中で「旬」を味わう ~りんご畑の中のカフェ mi cafe~

農業共済新聞岩手版・東北営農技術版

[新聞:岩手版]自然の中で「旬」を味わう ~りんご畑の中のカフェ mi cafe~

[2016年12月1週号 岩手版]

「リンゴ畑を見ながら加工品を味わうことで、お客さんのリンゴのイメージがふくらむ」と話す松本正勝さん、直子さん夫妻

【盛岡市】自家産の果物を使用したメニューや、リンゴ畑から一望できる壮大な眺めが人気の「mi cafe」を経営する盛岡市黒川の松本正勝さん(57)直子さん(54)夫妻。規格外のリンゴを有効に活用するだけでなく、時期に合わせてメニューに使用する品種を変えるなど「農産物の『旬』」を消費者に伝えている。

「規格外のリンゴを対面販売したら喜んでいただいたことや、摘み取り体験でリンゴジュースを振る舞った際に、畑からの景色が好評だったことから、ここにカフェを作ろうと思った」と話す松本さん夫妻。2007年に、県内初となるリンゴ畑の中のカフェをオープンさせた。現在、松本さん方では、リンゴ1・7㌶、ブルーベリー30㌃などを栽培し、農作業は主に正勝さんと父・谷造さん(82)、長男・誠宏さん(29)が担当。直子さんはカフェの経営に専念している。

「素材がもつ本来の味はもちろん、農産物の『旬』も伝えたい」と話す直子さんは、その時期に最適な品種の自家産リンゴをメニューに使用。また、授粉用のリンゴをゼリー状にしてケーキに添えるなど、出荷に向かないリンゴや規格外のリンゴも有効に活用する。紅玉のジャムをたっぷり乗せた「りんごのトースト」や生のリンゴをたっぷり焼きこんだ「りんごのケーキ」などが人気商品で、リンゴ本来の程よい甘さや酸味を味わうことができる。「カフェのメニューをきっかけに、リンゴの注文も増えた」と、正勝さんはカフェと農業経営の相乗効果を実感している。

授粉用リンゴに砂糖を加えて煮ることで鮮やかな赤色のゼリーになる。生のリンゴを焼きこんだケーキとの相性は見た目も味も抜群

同店では、定期的に講演会やコンサートなども開催。特に2年に一度、5月に松本さん方のリンゴ畑で開催される「りんご畑deコンサート」(実行委員会主催)は多くの企業や一般の方も運営に参加する。「もはや我々だけのものではない。みんなで育てるイベント」と正勝さんは話し、運営スタッフとして協力する周辺農家の協力にも「リンゴの花摘みで忙しい時期にもかかわらず、協力していただき本当にありがたいです」と目を細める。今後について「今まで『人のつながり』に助けられてきた。今度はこの場所を通して『人と人をつなげるお手伝い』ができればうれしい」と直子さんは笑顔をみせる。


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