[新聞:岩手版]転作小麦の後作にズッキーニ~所得向上に成果~

農業共済新聞岩手版・東北営農技術版

[新聞:岩手版]転作小麦の後作にズッキーニ~所得向上に成果~

[2016年7月4週号 岩手版]

2016-07-04-11

「ズッキーニをもっとPRして特産品にしたい」と話す宮代表理事(後列左)と組合員

【矢巾町】転作小麦の後作としてズッキーニを栽培する矢巾町の農事組合法人東農産(宮竹志代表理事=65歳、組合員28人)では、小麦収穫後の農地の有効活用と所得向上に成果をあげている。今年は機械の導入で作業の効率化をはかり、組合員が一丸となって産地化を目指す。

東農産は、前身の集落営農組織・東徳田第2営農組合を経て、今年から法人としてスタートした。水稲22㌶、小麦13㌶のほかに、2014年から栽培しているズッキーニの規模を拡大し、今年の栽培面積は6㌶。そのうち約5㌶が小麦の後作だ。

同法人の川村良道理事(66)は「ズッキーニは準備期間から収穫が終わるまで約100日。小麦を収穫し、次の播種までの期間に栽培を終えることができる」と話す。また、宮代表理事は「小麦は休耕期間も定期的な雑草処理が必要となるが、ズッキーニ栽培を挟むことで、雑草対策の耕起作業が不要になる」と収入に直結する農地活用の有効性も強調する。

同法人では、作業効率の向上にも取り組み、分解性マルチシートを使用しており、ズッキーニの収穫後はそのまますき込みが可能だ。また、今年から新たに機械も導入。小麦収穫後、肥料散布、耕起、マルチシート張り作業をトラクター1台で同時に行うことで、作業時間の短縮に成功し、1㌶あたりの播種作業時間は2日ほどだ。
「ズッキーニはとてもデリケートな野菜」と話す川村理事。果実が柔らかく傷がつきやすいため、収穫作業の時には必ず手袋を着用し、果実をじかに積み上げないよう、新聞紙を挟むなど細心の注意を払う。最盛期の収穫作業は一日に朝夕の2回。最も高単価なのがMサイズ(1本あたり約18㌢・150~200㌘)で、それより大きくても小さくても単価は下がるため、収穫期の見極めも重要となる。

2016-07-04-12

トラクターで4種類の肥料散布、耕起、マルチシートを張る作業を一度に行う

「ズッキーニの栽培を通して所得向上に繋がったが、一番の成果はチームワークが強くなったこと」と組合員の協力に感謝する宮代表理事。今後について「地域を代表する特産品にするためにも、自分たちがモデルになり、町内の生産者が増えていけばうれしい」と力強く話した。


ページ上部へ