[2021年5月1週号]
【東南部】遠野市上郷町の「こんたでぃーの遠野(菊池拓真代表=41歳)」では、規格外で出荷できなくなった農産物などを地元の農家から買い取り、新たな販路開拓・拡大に取り組んでいる。インターネット販売も手がけ、遠野産の野菜と同市の魅力を市内外に発信している。
菊池代表は2019年、買取価格の暴落による生産調整で、新鮮なレタスを大量に廃棄処分しなければならないという相談を生産者から受けた。「親交のあった宮城県仙台市の飲食店に相談し、仙台朝市で主に飲食店へ卸している商店を紹介してもらった。朝市で販売したところ売り上げは好調。農家から『廃棄する予定だったのでありがたい』と喜ばれた」と話す。
遠野市内の農業者は高齢化が進み、販売や流通はJAに頼る部分が大きい。規格外になれば販売価格は大きく下がるという。「規格外でも野菜は新鮮。農家と消費者を結ぶ懸け橋になりたい」と、こんたでぃーの遠野を20年4月に設立した。
協力農家の確保が課題
取り扱う農産物のPRと顧客確保のため、市内の事業所にチラシを配布している。「地元の道の駅や県内外のイベントにも出店している」と菊池代表。現在は約10戸の農家から生産物を買い取り、市内外の飲食店や個人に販売する。
野菜を提供する同市附馬牛町のむらかみ農園・村上悠さん(36)は「新しい作物や傷がある作物の加工品などの相談に乗ってくれるのでとても助かる」と話す。
「新型コロナウイルスの影響で飲食店での消費が少なくなっている」と菊池代表。現在、ネット販売に力を入れ、遠野産の野菜や加工品を販売する。「販路拡大に伴い、協力していただける農家を確保することが課題。より多くの人に遠野産の野菜と遠野の魅力を伝えたい」と今後の展望を話す。