[2023年8月4週号]
【岩手支局】金ケ崎町永栄の「山本ファーム」の山本亮也代表(27)は、2022年4月から牧羊に取り組んでいる。肉用種の「サフォーク」種と交雑種を合わせた約90頭を飼育。羊を日々注意深く観察して病気の早期発見に努め、飼育頭数500頭を目指す。
経営者になることが夢だった山本代表。めん羊農家の経営を研究する大学教授の父に話を聞いたことがきっかけで、牧羊に興味を持ち、同ファームを設立し就農した。食肉用羊の生産のほか、羊の毛刈り体験や羊毛を使ったフェルト細工の工作体験を実施している。
ビニールハウス2棟4㌃を羊舎として使い、サフォーク種や交雑種、種雄羊を飼育する。飼育環境を清潔に保つため、1~2カ月ごとに羊舎内で飼育場所を移動するという。羊の移動を容易にできるように、羊舎内の区切りは自作した可動式の柵を使う。
自然交配のため、発情期の9~10月に区切り内へ種雄羊を入れる。分娩までの期間は約5カ月だという。
「羊は病気に弱いが、我慢強い生き物なので病気でも表に出してくれない。日頃から一頭一頭注意深く観察することを大事にしている」と山本代表。線虫などの寄生虫や土壌菌による罹患を避けるため、羊舎の敷わらの定期的な交換や、薬の経口投与による駆虫作業に意識的に取り組む。
銅含有量を調べて購入の飲用水給与
昨冬は井戸水にわずかに含まれていた銅による銅中毒に悩まされたという。銅は動物が生きる上で必要な成分だが、子羊の銅要求量が10ppmに対し、中毒量は25ppm。「生まれたての子羊が銅成分を原因として体調を崩すことがあった。今はスーパーなどでさまざまな種類の飲用水を買ってきて、銅の含有量を調べてから与えている」と話す。
山本代表は「国内に流通する食肉は牛・豚・鶏で全体の99%を占める。そこに割って入れるように、羊肉をもっとメジャーな食肉にしたい」と願う。