【新聞:岩手版】作業性重視のピーマン栽培

農業共済新聞岩手版・東北営農技術版

【新聞:岩手版】作業性重視のピーマン栽培

[2023年8月2週号]

「農地を子どもたちに胸を張って引き継ぎたい」と伊藤さん

 【中部】花巻市石鳥谷町の伊藤邦彦さん(44)は、専業農家で育ち、大学卒業後に情報関連の会社へ勤めていたが、東京都に転勤した際、「岩手の食材のおいしさを改めて実感した」という。会社を辞め、2008年に実家で就農。現在は水稲250㌃、ピーマン9㌃、枝豆30㌃などを両親、妻と栽培する。作業効率の向上に取り組み、安定経営の確立を目指す。

 「これまで農家の長男という実感がなかった。実家の農地の今後を考えたことと、農産物の生産に挑戦したいという思いで、就農を決意した」と伊藤さん。

 就農後、岩手大学のアグリフロンティアスクールで2年間学びながら、実家で実技を身に付けた。「最初はとにかく両親のまねをして、丁寧な作業を心がけた」と振り返る。

 ナスの栽培を経て、21年にピーマンに着手。栽培用のハウスを4棟建設し、費用の約8割は補助金で賄った。現在は露地と合わせて9㌃で栽培する。

 畝幅を狭くして通路を広げ、作業時に通りやすくしたり、株の下から下枝を持ち上げるようにひもを張って防除しやすいようにしたりと、効率の向上のためのさまざまな工夫を取り入れた。「マニュアルとは異なる方法だが、作業のしやすさを優先している」

畝幅を狭くして通路を広げた。作業がしやすくなったという

経営安定へ労働力確保

 ピーマン栽培を始めて1年目にアザミウマが発生した。「ナスによく発生する虫だが、ナスに大きな被害はなかった」と、十分な対策をしなかったという。しかし、ピーマンに発生したアザミウマは深刻な被害をもたらし、「品質が低下してしまった」。昨年、虫害を防ぐために防虫ネットを導入した。

 今後は安定した経営を確立するため雇用を検討しているという伊藤さん。「将来を見据えて労働力を確保したい」と意気込む。


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