[2021年5月2週号]
【北部】「畑ワサビ」を栽培する九戸村山根の下澤郁夫さん(65)は、ワサビの花を摘花し、根茎の生育を促すことで増収を実現。摘花した花は、花ワサビとして出荷し収益に結びつけた。品質管理の徹底と丁寧な作業に努め、規模拡大を目指して奮闘する。
「父の代から畑ワサビを栽培し35年。10㌃の作付けから始め、地道に規模を拡大してきた」と下澤さん。現在、1㌶の畑で年間5~6㌧を生産し、同村にあるテーオー食品株式会社岩手工場へ出荷する。
収穫期にはパート従業員4人を雇用。すべて手作業の収穫で、草丈が60~70㌢ほどに成長する7月に始まり、9月まで続く。
畑ワサビの茎の部分は、練りわさびなどの原料として加工に使われる。下澤さんは「茎に栄養が届くように、花が咲き始める4月ころに摘花する。花を摘むことで茎が2倍も太くなるため、摘花は欠かせない大事な作業」と話す。
摘み取った花は、花ワサビとしてJAや道の駅おりつめオドデ館へ出荷。摘花で畑ワサビの増収と収穫前の収益化を実現している。
栽培には細心の注意を払う。「畑ワサビは暑さに弱い。気温が25度を超える5月ころから水やりを行い、苗の乾燥を防いでいる。茎の太さなど出荷規格を保つことも重要。収穫作業が終わり、毎年10月には新しい苗を定植している」
人員増やし面積拡大へ
雪解け後は、枯れ葉を手で取り除く。「畑ワサビを傷つけないよう丁寧に作業している。枯れ葉を除去することで、茎が真っ直ぐに育ち、品質の良いものに仕上がる」
今後、収穫作業の人員を増やす予定という下澤さんは「今年は気温が暖かくなるのが早く、開花が一気に進み摘花が追いつかなかった。人員を増やし、栽培面積の拡大と収量アップを目指したい」と意気込む。