[新聞:岩手版]移動式石窯ピザで地域のイベントに参加~農の多面性にワクワク~

農業共済新聞岩手版・東北営農技術版

[新聞:岩手版]移動式石窯ピザで地域のイベントに参加~農の多面性にワクワク~

[2016年11月4週号 岩手版]

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移動式の手作りの石窯でピザを焼く

【一戸町】「農業」からさまざまな仕事や成り立ちがあることを学んでほしいと、岩手県立一戸高等学校(猿川泰司校長、生徒数259人)の総合学科・生活文化系列の農業選択(3年生26人、2年生4人)では、授業で栽培した野菜を使用して作る「移動式石窯ピザ」を地域のイベントなどに提供し、栽培から加工、販売を通し多面的な農業を学んでいる。

同校は、一戸町奥中山にある圃場50㌃と園芸施設2棟(4㌃)を使用しトマトやピーマン、ダイコンなど約10種類の野菜を実習授業で栽培している。

移動式石窯ピザを作るきっかけは、2011年東日本大震災の被害を受けた野田村の復興応援として、同校でがれき撤去作業に参加した際、「今後何か応援できることはないか」と授業で栽培した野菜を活用したピザを考案。14年に野田村総合文化祭で石窯ピザの体験コーナとして参加し、ピザ作りを通した交流を図ったのが始まりで毎年交流を続けている。

ピザの生地は県産小麦の「ゆきちから」と県北地域で生産された雑穀を使い、ピザに使用するトマトソースは、栽培したトマトやタマネギ、ニンニクを使用。夏場はトウモロコシなどの旬の野菜をのせる。

移動式石窯は、本格的なおいしいピザを作りたいと、試行錯誤した手作りのもので850㌔あり、キャスターを付け移動可能に作った。

同校の中島道治教諭は「農業は栽培するだけの時代ではなく、農作物を6次産業につなげる取り組みが求められていると思います」と話すように、地域のイベントへの参加の要望を受け、アンテナショップとして参加し、直接声が聞けることや、地域交流と活性化、生徒の育成にもつながればと期待している。

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実習で育てた野菜などをイベントで販売

同選択3年の澤久保啓太さん(17)は、「実習では、種や苗を植え、一から作物の成長過程を見ることができ楽しいです。移動式石窯ピザの体験で、栽培から販売を通した農業に興味が涌きました。就職先も農業関係を選びました」と話し、ピザ作りは多面的な農業を学ぶ最適な教材ともなっている。

中島教諭は「この取り組みにより農業の良き理解者を育て、楽しさや可能性を幅広く学んでほしいです」と将来の農業を担う生徒たちに期待している。


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