[新聞:岩手版]廃棄待ちの草刈り刃を再生~今ある資源を活用~

農業共済新聞岩手版・東北営農技術版

[新聞:岩手版]廃棄待ちの草刈り刃を再生~今ある資源を活用~

[2015年10月2週号 岩手版]

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【奥州市】摩耗や欠刃などで使えなくなった草刈り機の替え刃を加工し、新たに刃を作って再利用している奥州市の佐藤仁志さん(81)。技術を生かした資源の有効活用は、地元だけでなく遠方からの依頼もあり、頼りにされている。

「約50年前、森林組合に勤めていたころ、研修で帯ノコについて半年間勉強した。そのとき身に付けた技術が現在の基盤となっている」と話す佐藤さん。農作業の傍ら、草刈り機の替え刃の再利用は20年以上前から続けているという。

加工手順は、先端の刃の部分を削り落として研磨しながら刃を作るのが基本的な流れ。独自に改良した卓上グラインダーで、角度の違う種類の研磨砥石を使い分けながら作業する。

試用して使い勝手が悪い場合は、ハンマーで調整するなど作業工程は繊細だ。替え刃によって刃の造りが違うため、試行錯誤しながらの作業になり、1時間あたり約5枚のペースで加工する。2015-10-2_32

佐藤さんは「地元の皆さんに頼まれて作っていたが、今では近隣地域や遠方から頼まれることもある」と笑顔を見せる。1カ月に平均で約20枚の依頼があるが、一度に30枚以上を依頼する顧客もいるという。

料金は刃の状態に合わせて1枚あたり200~500円で引き受けている。佐藤さんが不在時には、あらかじめ加工して保管していた替え刃を渡すこともあるとのこと。

また、「時間の都合がつく人には効率のいい草の刈り方を見せている」とも話す。

佐藤さんは「使えないからと放っておけばゴミになる」と、廃材などを有効活用し、工夫とアイデアで資源や経費の節約に取り組んでいる。これまでに自身の作業台や電動ひも巻き機などを製作していて、現在も新たな機械を考案中だ。(千田)

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グラインダーとは、円板形の砥石を回転させて工作物の表面を研磨したり、削ったりする工作機械


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