[2021年4月2週号]
【磐井】一関市厳美町の骨寺村荘園団地運営協議会(佐藤幸蔵会長=構成員68人)ではこのほど、水稲雑草防除の効率化と適期実施を目的に農業用ドローン(小型無人機)を導入した。中世から続く農村景観を守り続ける同協議会は、水稲の生産性を向上させることで住民の所得に結び付け、農業を継続していく環境づくりを進めている。
骨寺荘園は同町本寺地区にある荘園遺跡。湾曲した道路や排水路、不整形の圃場といった中世から続く農村景観で、国の重要文化的景観地に指定されている。佐藤会長は「形がふぞろいの圃場なので、作業効率は良くない。しかし、長い間続いてきた伝統的な田園風景を後世に繋いでいくことが大切」と話す。
現在、中山間の協定面積88㌶のうち、50㌶で水稲、38㌶で野菜や牧草を栽培。水稲は過去に冷害を受けたことがあり、危険分散を目的に「ひとめぼれ」や「どんぴしゃり」など5品種を作付けする。
「荘園は山間地にあるため、カメムシが多い。カメムシ被害による米の品質低下を防ぐためには防除が重要」と佐藤会長。昨年度まで、無線操縦ヘリコプターによる防除を外部委託していたが、2021年度から同協議会が農業用ドローンを使用し、薬剤散布をするという。
適期防除と品質維持へ
「品種によって出穂時期が約2週間から20日ほど異なる。品種ごとに適期防除することで、より高い効果が得られる。いもち病を予防し、水稲の品質低下と収量減を防ぐことで構成員の安定収入につなげたい」
同協議会の若手組合員3人が昨年、ドローン操縦のライセンスを取得した。「農村景観を残していくために、後継者の確保が大事。作業の効率化と若手の育成が必要」と佐藤会長。「機械に頼ることで農業を続けることができる。地区の財産である伝統的な田園風景を後世に残していければ」と笑顔を見せた。