【新聞:岩手版】ブランド豚一貫生産

農業共済新聞岩手版・東北営農技術版

【新聞:岩手版】ブランド豚一貫生産

[2021年6月2週号]

 【宮古】岩泉町有芸の「有限会社龍泉洞黒豚ファーム(高橋雅子社長=67歳)」では、肉質が自慢のブランド豚「龍泉洞黒豚」を一貫経営で生産している。高橋社長の夫で農場を設立した夫の真二郎さん(67)は「町内外の事業者と共同で、加工品の開発・販売を積極的に取り組み、安定した農場経営を行っていきたい」と力を込める。

「消費者が納得する高品質な黒豚を安定して生産していきたい」と真二郎さん

 同社は、自社農場で育成した種豚で繁殖から肥育までを行う一貫経営。ほかの農場との間で豚を移動させないため、伝染病などの病気を持ち込むリスクを回避できているという。

 真二郎さんは「繁殖と肥育では、日々の作業が異なるため作業工程は増えてしまう。しかし、種豚が母豚の発情を見つけて自然交配するので、繁殖成績は良好」と話す。

 現在、英国原産の純粋バークシャー種を約1250頭(うち母豚110頭)飼育。年間約1800頭出荷し、食肉加工は全量いわちくで行っている。

 一般的な白豚は、分娩から5カ月前後で出荷できるが、黒豚は成長が遅く分娩から出荷まで7カ月ほどかかってしまうという。「黒豚は肥育日数が長いため、飼料のコストは高くなってしまうが、その分、肉にうま味がつく。脂肪は一般的な豚肉よりも白くあっさりしているのが特長」。生産コストがかかる分、販売単価が高くなってしまうが、肉質の良さは消費者に好評だ。

子豚舎から肥育舎へ引っ越す豚

 同社では、町内外の事業者と共同で加工品開発にも積極的だ。

 「廃用になった母豚の肉を使用したソーセージを岩手町の菊池牧場と開発した。肉のうま味を感じることができる商品になっている」と真二郎さん。「一般的に安く取引される母豚の肉も、加工することで利益を生むことができる。安定した農場経営を行いながら、加工品販売にも力を入れていきたい」と意気込む。


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