[2019年7月1週号]
【東南部】大船渡市立根町の今野正文さん(66)は、耕作放棄地だった約2㌶の農地を再生し、ウメ(260本)を栽培している。安定した収量の確保と品質管理に向けてネットで獣害対策に取り組むほか、今年は収量の増加に向けてミツバチによる受粉や、新たな商品の材料としての出荷も控えている。
今野さん方では乳牛の飼育をしていたが、1998年に飼育をやめ、所有する牧草地は耕作放棄地となっていた。
会社勤めをしていた今野さんのもとへ2003年、農業委員会の紹介で、住田町で梅干しの製造・販売をしている有限会社及川農園の及川詔夫社長が訪れた。「ウメの安定確保のために、1㌶以上の農地とウメの生産者を探していた及川社長に相談を受けた」と今野さん。「自分には果樹栽培の経験はないが、及川社長から栽培について教えていただけることになった」と耕作放棄地でのウメ栽培を決断した。
獣害防止ネットで囲む
05年には、約2㌶の園地に「越の梅」と「南高」の2種類を植栽した。「09年には実がなったが、木を大きくするために出荷はしなかった。安定した収穫と出荷ができるようになったのは13年から」と今野さん。苗木をシカの食害から守るため、園地を囲むように延長1・4㌔のネットを張った。
梅酒用としても出荷へ
1月から3月は剪定、4月から5月に薬剤散布、6月下旬から収穫作業に汗を流す。「収穫作業の負担軽減のため、あまり木が高くならないように剪定している」と今野さん。今年は収量を増やすために、初めてミツバチを使った授粉に挑戦した。「収量は年間10㌧が目標」と意気込む。
今野さんは「梅干しに使う越の梅は、すべて及川農園に出荷している。授粉樹として育てていた南高も、今年から遠野市の酒造屋に梅酒の材料として出荷される。自分が育てたウメが新しい商品に変わるのが楽しみ」と話している。