【新聞:岩手版】温湿度管理が決め手

農業共済新聞岩手版・東北営農技術版

【新聞:岩手版】温湿度管理が決め手

[2024年2月3週号]

 【胆江】奥州市前沢古城の千田和春さん(77)は、ハウス4棟(20㌃)でイチゴの土耕栽培に取り組む。酸味が少なく実が柔らかい「章姫」と、甘味と酸味のバランスが良い「紅ほっぺ」の2品種を栽培。同市内の産直施設や道の駅、スーパーなどに出荷する。

 1965年に就農し、キュウリやトマトなどの野菜を栽培する千田さん。農業経営を拡大するため、農業改良普及員の指導を受けて2004年にイチゴの栽培を始めた。

 現在は苗1万株で年間1・4㌧を生産。親株から伸びる茎(ランナー)の先から出る新芽を発根させ、子株、孫株、ひ孫株を作り、孫株とひ孫株を8月から9月20日ごろまで育苗・定植する。

 「花になるための芽が作られる花芽分化は、気温が20度を下回ると発生する。特に秋は換気してハウス内の温度を下げるように管理する」と千田さん。

「今年の冬は経験したことがないほど暖かいので、温度管理に特に気を付けている」と千田さん

 受粉には花粉交配用のセイヨウミツバチを4箱購入して使用。11月から翌年の5月にかけて、ハウス1棟ごとに1箱ずつ、3千~5千匹を放しす。「ミツバチは25度くらいの気温で最も活動する。30度を上回ると活動しなくなるので、温度が上がり過ぎないように注意している」

 イチゴがかかりやすい病気には、葉が白くなるうどんこ病と、葉や果実などにカビが発生する灰色かび病がある。うどんこ病は空気伝染し、灰色かび病は枯死した葉が伝染源。ハウス内に枯れ葉を見つけたときはすぐに取り除くという。

 「イチゴの成長には湿度が必要だが、病気の発生原因にもなる。外気温が上がる午前11時ごろから換気して湿度を下げ、それまでは湿度を保ち果実を成長させるようにしている」

 千田さんのイチゴはすぐに完売するという。「『千田さんが作ったイチゴが一番おいしい』と言われるとうれしい。手間暇はかかるが、今後もおいしいイチゴを作り続けたい」と意気込む。


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