【新聞:岩手版】糖度上げる細心の管理

農業共済新聞岩手版・東北営農技術版

【新聞:岩手版】糖度上げる細心の管理

[2024年2月2週号]

「近年は夏の高温対策が課題」と阿部さん。適切な水管理に細心の注意を払うという

 【磐井】一関市花泉町の阿部和恵さん(54)は、ビニールハウス2棟(6㌃)で「雪うさぎ」「さちのか」などのイチゴを4600株栽培する。作業効率向上のため、ハウス内に高設ベンチや二酸化炭素発生装置などを整備。阿部さんは「自分が育てたイチゴを認知してほしい」と意気込む。

 会社に勤めながら両親のナス栽培を手伝っていた阿部さんは「イチゴ好きのめいに、自分で栽培したイチゴを食べさせたい」と2015年に専業農家へ転身。同市藤沢町でイチゴを栽培する会社で1年間研修を受け、16年に実家の畑の一画にハウスを設置して栽培を始めた。

 ハウス内には、パイプで架台を組み、防草シートをU字に渡した高設ベンチを設置。「長く農業を続けられるように、作業効率の良い高設栽培に取り組んでいる」

 灌水には井戸水を使う。フィルターを付けたが、砂でチューブが詰まり灌水が滞ることがあるほか、ハウスが東西に伸びているため日光に当たる時間が長い。土壌の乾燥対策として多めの灌水を心がけるという。

イチゴはJAや産直、道の駅のほか、小さいものは洋菓子店にも出荷

 雪うさぎの栽培は18年に開始。紅白のイチゴをセットにすればお祝いごとに使えると考えた。「香りが上品で、飽きのこない味が特徴。今年は昨年に比べて糖度が上がりおいしくなった」

 今年2月は、横浜市で開かれている「ヨコハマストロベリーフェスティバル」に出店するフルーツ大福専門店へイチゴを提供する。「販路拡大のため積極的にイベントに参加したい」と考えているが、「1人で栽培管理をしているので直接参加するのは難しい」。このため、今後はSNS(交流サイト)の利用を視野に入れるという。

 阿部さんは「自分が育てたイチゴの認知度を高め、いろいろな方に食べてもらいたい」と笑顔を見せた。


ページ上部へ